皆生温泉の要塞
鳥取県米子市です。この辺りには皆生温泉という温泉街がありまして、それぞれドカンドカンと大きな温泉宿が多数連なっています。そしてこの東光園もその1つ。特徴的なのがその外観。あまりにメカメカしく、まるで要塞。非常に興味深いこのお宿に宿泊してきたので、紹介していきます。
米子の要塞ホテル東光園
4階は吹き抜けになっている
東光園は1964年に完成。かつて昭和天皇や上皇陛下も宿泊したそうです。設計者は菊竹清訓さんで、江戸東京博物館なんかも手掛けました。そんな立派なホテル。
フロントとロビー
そんなイケてるホテルに私がここに宿泊した理由は2つ。1つ目は、当然この素晴らしいデザインを宿泊して堪能したかったから。そして2つ目は、大変失礼ながらどうもこのホテルには私の好きな「廃墟」の雰囲気を感じるから。ではそれぞれの角度から見ていきましょう。
3階と5階の間に生まれた空中庭園
東光園解説図
まずはこちらをご覧あれ。東光園の構造はとても独特。1〜3階部分については普通です。そして3階を突き抜けて6本の柱が伸びていて、7階に大きな梁を横たえています。そして5、6階はその梁から吊るしています。
3階と5階の間に吹き抜け状の4階があり、そこは空中庭園となっています。
突然外
フロント内にあるエレベーターに乗り込み、4嗅いで降りると、目の前は外。
眺めは良いが…
足元には砂利が敷き詰められていて、そして遠くを見ると、大山かな?大きな山々が見えます。
何もないし非常口の緑が寂しい
とはいえ、この4階部分にはマジで何もない。無機質な空間が広がっているだけ。これが…空中庭園?
これは庭園展望台だ!
ただ視線を下げると、そこには彫刻家の流政之さんによる庭園が広がります。こちらの庭園へのリスペクトも込めて、空中庭園はあえて何もない空間にした、という説もあるそうです。
ガラスに覆われた階段
空中庭園からは非常階段もよく見えます。
それっぽいけど増築された通路
また、端からは通路が伸びています。
これによって別館との行き来ができます。この通路や別館は後から増築されたそうで、特に面白みはありませんでした。
宿泊した部屋(別館一階)
ちなみに東光園本館の方は3、5、6階にしか部屋がありません。皇族の方々はおそらく本館6階に宿泊されたみたいです。別館は我々のような大衆客用として作られたんでしょうね。一般的なお部屋でした。
廃墟テイストを見せる秘密の7階とそれ以上
例の非常階段です。語彙力がないのでうまくいえませんが、手すりといい大きな窓とその格子といい、直線デザインが並んでいてなんだか気持ちが良い。しかし大きな窓ガラスによって取り込んだ太陽光が、非常階段という人流の乏しいエリアに留まることで、なんとも廃墟的な蒸し暑さを構成していました。
この非常階段もしくはエレベーターを使って、最上階に行くことができます。
最上階には大広間がありました。椅子がきれいに並んでいますが、廊下にはテーブルなどが散乱していて、もう使われていない様子でした。
これまた素敵な天井
四方の大きな窓と天窓のおかげで明るい。しかし天井には鳩がたくさんいて、ドカドカうるさい状態でした。4階の空中庭園といい、かなり鳩にやられているようでした。
より高みを目指して
そしてこの7階からはさらに上に続く螺旋階段があります。
とりあえず行けそうなので行きます。
最後の部屋
まさにここが東光園の最上階!
この辺です。
なぜかカーテン(?)が剥がれ落ちまくって首の皮一枚つながっています。これは非常に廃墟的。まさかこんな隠れスポットまで体験できるとは思いませんでした。
夜の東光園と危うい様子
夜の東光園
夜になると東光園はライトアップされます。ただこの日は満室にはならなかったようで、5階6階は暗め。
部屋の明かりをつけておくれ
横から見ると5、6階が迫り出しているのがよくわかりますね。これをほとんど6本の柱が支えているわけです。
吊るして解決!
ちなみにこのような複雑な構造にしたのは、その5階、6階の部屋に起因するようです。純和風の部屋を空中階に造るとなると大きなコンクリートの柱が必要になります。それでは趣がありません。そこで吊り下げ構造を採用することで、純和風の部屋を空中階に用意できたというわけです。
鳥居的デザインを取り入れています
ロビーに大きく聳えるこの柱がそのど根性柱6本組の1本。また、3本の貫が柱を支えています。このスタイルも鳥居をイメージしていて、確かにどことなく和を感じます。
大丈夫?
なるほどなぁ〜と感心しながら天井を見上げると、ちょっと危うい感じに剥がれていました。もう60周年を迎えようかという老舗。これからも頑張ってくれ!!
この記事の撮影機材
カメラ1:α7C
カメラ2:Pixel 6 Pro
ハトに負けるな!
残念ながら現存していませんが、石川県の温泉街にも、「王朝ホテル」と呼ばれる超立派なホテルがありました。廃墟となりハトの住処となってしまい、特に上層階はひどい有様でした。しかし王朝と呼ばれていた通り、こちらは西洋風な超豪華ホテルで見どころ満点でした。ぜひこちらの記事もご覧ください。
東光園の詳細情報
公式サイト:【公式】皆生温泉 東光園
住所:〒683-0001 鳥取県米子市皆生温泉3丁目17−7
電話番号:+81859341111
場所:Googleマップで見る