ウェルカムトゥディスクレイジータイム
北海道芦別市にあるカナディアンワールドに行きました。「廃墟テーマパーク」だとか「合法廃墟」とか言われており、廃墟好きとしてチェックせねばと。
また、公式Xアカウントでなんとも涙を誘う投稿をしていたのもきっかけの1つです。
カナディアンワールドの夏、2日目です。昨日の駐車料金は2000円、4台分でした。今日はもう少し来てくれるかな! pic.twitter.com/XWJHEndooj
— 【公式】カナディアンワールド (@Canadian_world) August 10, 2024
まぁ一度閉鎖されたテーマパークで、しかも敷地が広く管理が行き届いていないところもあり、確かに廃墟感はありありでした。ただ、そういった行き届いてなさがかえって面白い面もあり、私が訪れた日なんかは思ったよりも観光客がいらっしゃった気配です。
特に思い入れもありませんが、応援したくなっちゃうカナディアンワールドを、面白おかしく、そして薄っぺらく紹介していきます。
目次(もくじ)
広い敷地をサファリパーク形式で進む
「カナディアンワールド」と「案内図」の間には何があったのか
さぁこのカナディアンワールド、とても広い。広大な敷地内にいくつか建物があり、それらを巡ります。移動手段はなんと車。サファリパークのように園内を車で移動して、各ブースにある駐車場に車を置いて観光する感じ。
園内は一方通行になっていて、かつては反時計回りだったけど、現在は時計回りとなっています。なんで?
なお、入場料や入口前の駐車場は無料ですが、車で園内を回る場合は500円がかかります。要するに車を置いて徒歩で周れば無料だけど、敷地が広いんで500円払って車で入場する方がおすすめです。
カナディアンワールドの歴史
ベルトレイン
北海道にカナディアンワールドがあるように、名古屋にやイタリア村があるし、新潟にはロシア村があるし、長崎にはモンゴル村があります(正確には全て「あった」)。
こういう、「なんでそこにあるの?」って感じのテーマパークは、歴史を見てみると結構面白いのでカナディアンワールドもWikipedia等を参考に見てみます。
開園きっかけは「担当者夫人がファン」?
まず私は赤毛のアンってタイトルだけで内容は全然知らないのですが、そもそもなぜ芦別市で赤毛のアンのテーマパークができたのか。調べてみると、これが「カナダが舞台の物語なので、環境面で北海道と近かったから」「担当者の夫人がファンだったから」というもの。
そんなぁって感じだけど、まぁそんなもんだよな。
三セク→市営→民営のたらい回し経営スタイル
現金のみ
当初は芦別市と民間企業による第三セクターとして運営されていました。しかし運営の中にテーマパーク経験者がおらず、そんなこともあってかどうかは知りませんが、1990年の開園以来客足は増えず1997年に閉園となったそうです。第一次閉鎖です。
運営は厳しい様子
続いて1999年から市営として復活し、入場料無料となるものの、規模は縮小されました。2014年にはNHKの連続テレビ小説で赤毛のアンの翻訳者がフューチャーされ、その追い風でちょっと客足が増えたものの、結局ダメで2019年に第二次閉鎖。
その後同年に民間団体に貸し出され、現在は民営として運営されています。入場者数は開業当初の1990年代がピークで、以降下がり続ける一方だったそうです。
心霊スポット扱いも:
というわけで夜間の入場はできないのですが、一部では心霊スポットとして取り上げられることもあるそうな…。ただし、特に事件などは起きていません。
廃墟感はあるけど意外と愉快な園内
いきなりカナダ無関係な施設
とりあえず駐車場すぐ近くの建物だけ徒歩で見てみました。それがこれ、石岡剛の世界美術館。いきなり何?
謎だったので内部は見ませんでしたが、芦別生まれの画家で2002年に誕生したとのこと。市営時代なので、なんとか空きテナントを埋めようと躍起になったんだろうなというのが見て取れました。
この景色だけでも結構満足度高かった
そんな謎の美術館を抜けてしばらく進みます。っていうか景色が良い。さすがの北海道。
カナディアンワールドはすり鉢状の地形になっていて、もともと炭鉱の露天掘りエリアだったそうです。
時計台セントジョン
時計台なんだけど肝心の時計が小さいし止まってた
時計台が見えます。「セントジョン」という名前みたい。
狭くて暑い内部
内部は狭いけども上りと下りの階段がそれぞれあります。
マスコット。おそらくアンちゃん。モノクロだけどきっと赤毛なんでしょう。
手すりも心許ない
虫の死骸も多くなかなか不気味な階段を行くと…。
天井が崩壊しそうなのは内緒
おお。
カナダの景色
良い景色だ!この景色だけはもうカナダ。あとでかい川が流れていればもうカナダ!
外はカナダ、内は廃墟
素晴らしい景色から内部に視線を戻すと、そこはもう廃墟で見慣れた雰囲気の階段。
謎のアトリエ
カナディアンハウス
奥に見えるのが「貸しギャラリー」、左に見えるのがピザ屋アイスを扱う売店とのこと。では早速と売店に入ってみるも、中は無人で特に販売されている感じもありませんでした。
入った瞬間ちょっとビビった
では貸しギャラリーはと言うと…。うおっ…。無人のアトリエ空間が広がっていました。これはもう間違いなくアトリエ。
最初は軍服系の黒い制服着た人かと思った
そしてこの絵。一見禍々しくもありながら大迫力のSL。そして印象的な赤の差し色。こ、これは…!芦別市出身の画家であり、作品には必ず「石岡の赤」と呼ばれる赤を用いることでお馴染みの、石岡剛先生のアトリエ…!いや、石岡ワールド!
美術館のみならず、アトリエまで構えるとは。カナディアンワールドと石岡先生の蜜月っぷりが伝わります。
やってます
また、ギャラリーなんかもありました。
わりと素敵
ほへー。
お食事中にお邪魔しちゃったみたいな気持ち
電気もついてるんだけど、無人で、どうにもなんだか不法侵入しているような気持ちになってしまって不気味。
しばらく施設を見回る
内部を見たかったぜ
教会です。残念ながらこの日は内部の見学不可。
30年経ってその後どうですか?
この教会で結婚式を挙げた人たちのプレートがありました。まじかー。開園当初はそんな使われ方までしてたんですね。
こちらは学校。カナダの学校ということでちょっと違いますね。違うよね?
オルゴール館も施錠中でした。結構大きい建物だったので内部を見られず残念!
最後はカナディアンワールドのメインストリートへ!
これはもうカナダ
「カナディアンワールドといえばココ!」という、メインの施設がここ。湖畔に佇むカラフルな建物はまさにカナダを連想させます。
ちなみにモデルとなったであろう、本場のカナダフレンチ・リバーはこちら。
お、なんか本家も思ったほど…。これに関してはむしろ本家よりもカナディアンワールドの方が、規模がデカくて素敵に見えます。ほんで思ったほど山はなくて、平地なのね。
メインのフレンチリバー
やってきましたメイン。遠くから見ると素敵な感じでしたが、近づいていくとやはり段々と廃墟感が露わになっていきます。
なんかこう重厚感がないけども
可愛い。
お店の内部は資料館的な
建物内は無人の展示施設と、いくつか有人の施設もありました。こちらは資料館的な感じ。かつては軽食も提供していた雰囲気がありました。
巨大なパイプルオルガン。
なんで馬?
入り口にあった馬。いきなりなんだよと。なんだかミスドのメリーゴーランドを思い出すなーなどと思っていました。
すると、後ほど園内で当時のパンフレットを発見し、そこにメリーゴーランドと書かれていました。となるとこれは、当時のメリーゴーランドの名残?
小さめのメリーゴーランド
そして施設から外に出ると、円形の謎の残骸が。
こ、これがメリーゴーランド!そしてあのお馬さんはこのメリーゴーランドで回転していたものなんだろうね。
年代物のメリーゴーランド
製作者は「MADE BY W. F.MANGELS CO」とあります。調べてみると、ニューヨークのコニーアイランドにあるマンゲルスさんの会社とのこと。この人、メリーゴーランドの第一人者として名を馳せていたそうです。いわば、本場のメリーゴーランドがあったわけですな。
レトロで素敵な空間
そしてこちらはカフェ、「MIC MAC」です。園内でほぼ唯一と言って良いカフェ。
ジビエを出してくれるらしい
軽食等もありますが、この日は遅い時間だったのでドリンクだけ頂きました。コップにはカナディアンワールドのロゴが描かれていました。
このMIC MAC、カフェだけでなく雑貨も販売されています。
広々としたソファー
ソファーがありました。
なかなか手が出ません
価格はなんと20万円。これは…!きっと良いものなんでしょう。
雑貨…?
アンティークな大型コンロがありました。
80万円のコンロじゃないと作れない料理がある
ってこれ80万円んんん…!!!!もはや雑貨の域を超えてるし、販売されてるのか…。ぶっちゃけ誰が買うんや。
突然のヘラクレス
カフェを出てさらに進むと、「ヘラクレス」と掲げたのぼりがありました。
「カナディアンワールド昆虫館」というらしい。カナダ要素は…
カブトムシを販売しているようです。もはや赤毛のアンとは無関係な感じですけども。
焼くの?
キャンプファイヤー的な木片が置かれていました。よくみるとカブトムシの死体がいくつか…。
昔はミニ列車が走っていたよ
蒸気機関車ではなかった様子
メイン施設の周囲にはレールがあって、そこをミニ列車が走っていたようです。
2019年の第二次閉園から運行が止まったようで、草も伸び放題です。
もはやレールは埋もれて見えにくく、事前に知らないとここに列車が走っていたと気づかないほどでした。
楽しかったぜカナディアンワールド
やはり引で見ると素敵
てなわけで全体的にざっくり見て終了。あとは明らかにもう廃墟だろみたいな施設もありました。
現在ほぼボランティアで成り立っているようで、そういった施設を面白おかしくいじるのもはばかられますが、とはいえこの日訪れていた他の観光客は若い人も多く、「寂れた観光地」を楽しんでいる様子も感じ取れました。
ちょっと前だと志摩スペイン村が寂れた観光地ということでバズってましたし、こういう一周回って面白いスポット、つまり珍スポットが脚光を浴びつつある気がします。今が全盛期!
一風変わったテーマパークが好きかい?
「変わったテーマパーク」という括りで言うと、絶対におすすめなのが静岡県にあるまぼろし博覧会ですね。メディアでも取り上げられ、大成功を収めた珍スポットとしても有名かもしれません。
ここはもうまず駐車場で館長が女装して旗振ってるってことから際立ってます。すごいです。言葉が出ません。