ラベンダーは8月には枯れてしまうらしい
北海道富良野市では「ワーケーション展開費用助成金」というワーケーション推進プログラムを開催しています。内容はざっくり以下の通り。
- 全部で6種類の助成金制度
- その中で会社員やフリーランスで仕事しながら観光もする「ワーケーション」での利用者を対象としたものあり
- 13〜30泊(2週間〜1ヶ月以内)の滞在
- 家賃(宿泊費)の2/3を支給(上限10万円)
- レンタカーの1/2を支給(上限5万円)
要するに「滞在費とレンタカー代を最大15万円支給するから富良野にワーケーションに来てね」というもの。
というわけでこれを活用し、現在私は北海道富良野市に滞在しております。平日は仕事をして、土日は富良野周辺を観光しに行くスタイルです。
このプログラムの詳細の解説と、およそ3週間が経過したところでの体験談を紹介していきます。
目次(もくじ)
富良野市ワーケーション展開費用助成金の解説
富良野のゆるキャラへそ丸くん
まずは本プログラムの解説を。ただし結構複雑で細かいので、私の認識で内容を噛み砕いて解説していきます。なので申し込む際には必ず市の公式サイトも確認して、より正確な情報を得てください。
下記上段のリンクがざっくりまとめられた公式概要PDFなので、まずはこちらを確認してもらうとわかりやすいと思います。
【参考】令和6年度ワーケーション展開費用助成金
【参考】【ご案内】令和6年度「ワーケーション展開費用助成金」について - 富良野市
助成金は全部で6種類あり、私が利用したのは「子育て向けワーケーション・移住体験支援事業」です。個人単位の場合は「転職なき移住者向けワーケーション・移住体験支援事業」になりますが、内容はほぼ同じです。
条件:支出記録など細かい規定もあるので注意
富良野市役所(最近建て替えたんだって)
条件については、「前提条件」と「達成条件」の2つがあります。
前提条件は「13〜30泊」で、リモートで仕事ができる会社員やフリーランスの方です。なお、家族で利用する場合両親のどちらかが条件に該当していれば良くて、例えば片方が無職でも問題ないみたい。
そして達成条件の方は結構細かくて色々とあります。主なものは以下の通り。
- ゼロカーボン推進体験プログラムに参加
- SNSでの拡散
- 期間中の支出を記録する(フォーマット支給)
- 感想文の提出(フォーマット支給)
体験プログラムは土日や朝8時半でも参加できるので、たいした問題はないでしょう。SNSもアカウントさえあれば余裕です。
感想文や支出記録については苦手な人は結構大変だと思います。ちょっと面倒ですが、毎日記録しておけばすぐできると思うので、癖づけておきましょう。
対象費用:家賃とレンタカー代が主なもの
レンタカーと我が家
補助金の対象となるのは以下の2種類。最大で15万円の補助を受けられるわけです。
- 家賃(宿泊費)の2/3を支給(上限10万円)
- レンタカーの1/2を支給(上限5万円)
滞在場所についてはホテルだけでなく、市と提携している民間の短期滞在賃貸を選ぶことができ、こちらなら家賃8.4万円〜11万円になります。特に問題なければこの賃貸を選ぶとホテルよりも価格を抑えられると思います。
レンタカーについては富良野市の店舗だけでなく、旭川空港や新千歳空港で借りたものでもOKです。実際に私はトヨタレンタカーの新千歳店で30日間レンタルしました。
- 宿泊費(家賃+美装代+布団レンタルx2):165,000円
- レンタカー:約150,000円
- 合計費用:315,000円
- 家賃助成金:-100,000円
- レンタカー助成金:-50,000円
- 実質負担額:165,000円
てなわけで、家賃とレンタカーでだいたい30万円強かかりましたが、助成金のおかげで半額近い負担となりました。この金額で1ヶ月間富良野に滞在できるってのはめちゃくちゃ魅力的でした。
富良野ワーケーション体験記:1ヶ月間この町で暮らしました
市街からスキー場が見える
では実際に、8月の1ヶ月間富良野でワーケーション滞在してみてどうだったか、視点を分けて体験談を書いていきます。
家:リノベ済の綺麗なアパートで快適に滞在
2LDKのアパート
まず家ですね。二階建てのアパートです。室内は綺麗にリノベされていて不満なし。設備も十分揃っていて、キッチンに冷蔵庫や調理器具等あり、食材や調味料を用意すれば十分自炊できます。長期滞在になるので自炊ができるってのはお財布事情的にも嬉しい。ダイニングテーブルとテレビもあります。
ベッドに微妙に段差があって気になった
ベッドはソファーベッドだったのでちょっと寝心地がイマイチだった点だけ不満でした。また北海道らしくベランダがないので洗濯物が室内干しになりますが、それはまぁしょうがない(室内干し用の物干し竿あり)。
最低限の家電は揃っていて問題なし
アパートの材質はおそらく木造で、我々は2階だったため子供の足音が心配になりましたが、今回滞在したアパートは全室短期滞在者向けで下が留守のことも多かったのでトラブルはありませんでした。
仕事:コンシェルジュフラノが最高
賃貸にはネット環境もあり仕事も十分できます。ただしデスクがなくてダイニングテーブルで仕事することになるので、個人的には長時間のワークは辛かったです。もうちょっと仕事に適したデスクと椅子があれば嬉しかった。
富良野市役所2階
てなわけで、仕事は主に外で行いました。アパートから歩いてすぐには富良野市役所や図書館、そしてマクドナルドもあるのでWiFi環境には困りません。電源は使えませんが。
コンシェルジュフラノの無料スペースにはコンセントもある
さらにもうちょっと離れますが、「コンシェルジュフラノ」という無料のコワーキングスペース的な施設もあり、そこならコンセントも使えます。
コンシェルジュフラノに併設されているカフェEVELSA
この施設ではカフェ2店舗も併設されていて、ノマドワーカー的な人から外国人や学生まで、様々な人で賑わっていました。ここが結構快適で自分もほぼ毎日居座っていましたね。無料はすごくありがたいよ。
ただ会議メインみたいな働き方だと、こういった公共施設は不向きかも。その場合は中富良野になるコワーキングスペースの「まちなかオフィス」を使うと良いと思います。
【参考】まちなかオフィス - ナカフライフ ~なかふらので暮らすように働く~
観光:チーズ!ワイン!ラベンダー!まさに北海道を楽しめる
上富良野にあるかんのファーム
富良野周辺では以下の観光地に行きました。
- 富良野チーズ工房
- カンパーナ六花亭
- 富良野ワイン工場
- 北星山ラベンダー園
- アンパンマンショップふらの店
富良野チーズ工房の森
チーズにワインにと、まさに北海道ならではのお店が密集しています。特に「富良野チーズ工房」は森に囲まれたロケーションで芝生もあり、良かったです。アイスも美味しくて滞在中2回食べた。ただ観光客がめちゃくちゃ多くて、特にピザは1時間以上待つこともある。放送で呼びかけてくれるのでそんなに苦じゃないけど。
また、もうちょっと行けば「青い池」で有名な美瑛、そして「旭山動物園」がある旭川もあります。
旭岳遊歩道の景色
子育て:託児所あり!市役所にはキッズスペースもあり
1ヶ月お世話になった託児所きっき
1ヶ月間富良野に滞在するにあたって、子供をどうするねんという話ですが、周辺の託児所や幼稚園に短期入園できます。
我が家はアパート近くの託児所で1ヶ月間お世話になることにしました。料金は1ヶ月で3.5万円くらいだったかな?こちらは助成金対象外ですが、そもそも通っている保育園より安かったのでありがたい。
お盆期間中ということでお弁当の持参が必要でしたが、それ以外特に手間もなく。子供もわりとスムーズに受け入れてくれた良かったです。
市役所内にある遊び場「へそキッズランド」
また、富良野市役所やその隣の富良野市保健センターでは子供を遊ばせることができるスペースもあります。
【参考】北海道富良野市で親子ワーケーション~お子さんの短期入園をサポート~ | ワーケーションフラノ
託児所とは事前にオンライン面談できる:
富良野ワーケーションでは利用前に2回のオンライン面談を行います。そのうちの1回では託児所の方と話すことができました。子供を長期間預けることになるので、事前に少しでも相手のことを知っておきたいなーと思っていたので、まさに事前に面談できて良かったです。
ジム:ある
この建物の2階3階にジムエリアがある
コンシェルジュフラノのすぐ近くに、「ふらっと」というジムがあります。市営ジムな感じでバーベルがないしマシン自体は少なめなんですが、とりあえずベンチとダンベルがあるのでOK(22kgまで)。
あとジムエリア以外にプールもあり運動できます。
【参考】利用料金 | 富良野市中心街活性化センター ふらっと
気候:寒暖差が結構ある
お盆過ぎたら急に寒くなって、夕方には23.8℃に
まず新千歳についてやっぱり涼しさを感じました。しかし日中は北海道と言えど30℃前後になることもあり、やっぱり暑いは暑いです。
ただし、特に富良野は寒暖差が大きいらしく、朝・夜は半袖だと寒いくらいのこともあります。
私は基本半袖半ズボンでしたが、長袖長ズボンの用意があるとベターだと思います。もしくはしまむらが近所にあるので買おう。ユニクロはない。
富良野ワーケーションで良かったことまとめ
たまたま開催してたフラノビ・アモール
やっぱり助成金が出るってのが今回の参加きっかけになった入り口だし、軽い負担でこの暑い8月を北海道で過ごせたってのはかなりデカい。もうこれだけで良かったことの1つ。
それでいて平日は賃貸に住んで、託児所に子供を預けて、近所のスーパーで買い物してご飯を作る、という普段の生活と変わらないスタイルでいられたので良かったです。一方で土日は車で観光に出かけ、北海道ならではの自然・食を堪能できました。
このように「変えたくない部分(仕事・生活)」「変えたい部分(土日の過ごし方)」をうまく両立できたのが高い満足度に繋がったかなと思います。
富良野の方とワーケーション参加者でのBBQ
また、このプログラムの担当者の方が中心となり、他の参加者や地元の方を繋げてくれたのも嬉しかったです。仲良くなった人たちで飲みに行ったり、地元の方にお招き頂いてBBQしたり。やっぱなんだかんだ、どこ行っても一番楽しいのはこういった交流っすね。
富良野ワーケーションで悪かったことまとめ
北海道の松ぼっくりナマコっぽい
悪かったことは主に2点。ただしどちらも「富良野ワーケーション」ではなく「ワーケーション」ならではの問題です。
1点目は賃貸が子供に適していないことです。例えば子供が入って欲しくないエリアにはゲートを用意して通せんぼするじゃないですか。賃貸にはそれがないので、どこでも入り放題になるわけです。例えばキッチンの包丁を子供が取り出してしまう恐れがあるので、子供の手の届かない場所に保管する必要があります。
こんなんまぁ当たり前な話なんですが、とはいえ改めて「家ならできてる対策ができない」問題に直面すると地味にストレスでした。
偶然見つけた観音様。立ち寄るよね
2点目は土日に観光の予定を詰め込めるだけ詰め込むので、結構疲れることです。当然、観光しないと「なにしに来たんや」って話なのでしっかり観光するんですが、毎回土日に外出するとなるとそれはそれで疲れる。家でゆっくりしたい。でもゆっくりしちゃうと勿体無い。ジレンマ。
これから富良野市に訪れる人へのアドバイスとか
最後に、これから富良野ワーケーションを活用して訪れる人に向けた注意点とかアドバイスを書き連ねていきます。
ゴミの分別がガチなので頑張ろう
ゴミ袋が多過ぎる
富良野市のごみの分別はガチ。一般的な「燃えるゴミ」も富良野だと「生ごみ」「プラスチック類」「固形燃料ごみ」「衛生用品」の4つに分類されます。
例えば「食べ残した納豆とその容器、そして手を拭いたティッシュ」があるとします。これは以下の通りに分別されます
- 納豆:生ゴミ
- 容器やタレの小袋など:洗ってプラスチック類
- ティッシュ:固形燃料ごみ
正直ちょっと面倒。
道路は鹿が多い
新千歳から富良野に行く際、道端で鹿を見た回数は3回。
動物注意の看板があったら本当にちゃんと注意した方が良い。
周辺のスーパーは意外と高い
フラノマルシェは道の駅みたいな施設
滞在先周辺にはスーパーが多いです。
- ツルハドラッグ
- ホクレンショップ
- ラルズマート
- コープさっぽろ
- DZマート
で、気になったのが価格が結構高いこと。特に牛乳。地元だと200円弱な感じですが、富良野のスーパーは300円前後のことが多い。北海道だから安いと思ったけどそんなことはなかったぜ!
そんな中ツルハドラッグはドラッグストアだけど周囲のスーパーより安いので度々利用していました。あとはちょっと遠いけど、DZマートも安いスーパーとして評判が良く実際に安いと思いました。
富良野の食材を求めるなら富良野マルシェも良いと思います。実際に地元の人も富良野マルシェで野菜を買うことがあるんだって。
外国人が多いので交通事故には要注意
北海道は中国人が多いってよく聞くんですが、マジで多かったっす。中国人の方が多いんじゃないかって思うほど。
それ自体は問題ないし、どこ行っても混雑しててオーバーツーリズム気味ってわけでもありません。
ただ外国人が多い地域で怖いのが交通事故ですね。外国人と事故るとよりめんどくさいことになったり、ひどいと泣き寝入りになることもあると聞きます。相手も日本の道路で運転慣れしていない可能性もあります。自衛のためにもレンタカー契約の際には個人店ではなく大手を利用し、保険内容を盛り盛りにすることをおすすめします。
富良野図書館は短期滞在だと借りれない
アパートから近いところに富良野図書館があります。せっかくなのでこれを使い倒してやろうと思ったんですが、1ヶ月以下の滞在だと借りれないそうです。もちろん館内では自由に読めるし、前述の通り仕事することもできます。
気候に合わせて暮らす場所を変えたいよね
というわけで富良野ワーケーション、非常に満足しております。残りの期間も堪能していきたいと思います。
聞くところによると福島県も同じようなワーケーションプログラムを展開しているとの話。もしかたら他の自治体もあるかもしれないので、活用したいっすね。